50年たっても色あせない ― 懐かしい記憶と香りのお話
2026/11/07
このところ、私がかつて住んでいた実家の近くから、立て続けにお客様が来てくださいました。
お話の中に懐かしい地名が出てきて、思わず「私もその近くに住んでいたんです」と、話が弾みました。
といっても、今の場所からは車で20分ほど。県はまたぎますが、川ひとつ隔てたところです。
お客様の年齢が私と近いこともあって、当時の様子が色あせることなく、目の前に広がっていきました。
(写真は、そのころの中学校の運動会です)
電車で通った小学校
小学校のころ、私は当時としては珍しく、電車で通学していました。
集団登校で、6年生のときには班長として、みんなを連れて行っていました。遅れてはいけない、みんなをまとめなくてはいけない。幼いながらに、責任を感じていたのかもしれません。
ときには、大きなランドセルを背負った1年生の子をおんぶしたこともありました。あとから、その子の親御さんに感謝されたこともあります。
50年たっても色あせない
学生のころは、「50年前」と聞くと、教科書に出てくるような、ずいぶん色あせた昔のことに思えていました。
けれど、いま自分がその年月を経て振り返ってみると、まったく色あせていません。むしろ、生き生きとした様子が思い浮かびます。
当時流行っていた海外の音楽(「ビューティフル・サンデー」や「カントリー・ロード」など)、漫画やアニメ。どれも生き生きと思い出されます。
お客様からも「当時、父がその辺りで働いていたんです」というお話が出て、記憶を共有できることに、懐かしさと親しみが一気にこみ上げてきました。
年齢を重ねたからこそ、こんな思い出語りができるのだと思うと、まんざらでもないですね。
香りと記憶
記憶といえば、香りと記憶の結びつきは、香りのとてもよく知られた働きです。
ある香りをかいだ瞬間に、昔の出来事や、そのときの気持ちまでふっとよみがえる。そんな経験はありませんか。フランスの作家プルーストの小説の一場面にちなんで、「プルースト効果」と呼ばれることもあります。
香りの情報は、ほかの感覚に比べて、気持ちや記憶にかかわる脳の部分に早く届くといわれています。そのため、香りでよみがえる記憶は、言葉や写真をきっかけに思い出すときよりも、気持ちをともなって鮮やかなことが多いともいわれています。
また、香りをきっかけに思い出す記憶は、10歳前後までの子どものころのものが多い、という研究もあるそうです。
私にも、小学校のころの、においの思い出があります。
当時は、小学校の中で給食を作っていました。給食係のときは、重い寸胴の鍋を運びながら、できあがった給食のにおいに「今日のメニューはなんだろう」とワクワクしていたものです。
みなさんにも、ふとした瞬間によみがえる、子どものころのにおいはありませんか。
50年前の記憶も、香りがそっと呼び起こしてくれることがあるかもしれません。
さまざまなお客様と出会えること
こんなふうに、思わず懐かしい記憶を分かち合える時間が持てることも、さまざまなお客様と出会えるこの仕事の醍醐味だと、感じずにはいられません。

